なめたネジの外し方|ネジはずしビットの使い方と失敗する原因【サイズ早見表つき】
結論
- なめたネジは、軽い方法から順に試します。溝が少し潰れた程度ならゴムを挟んで回す、頭をつかめるならネジ用プライヤー、溝が完全に潰れていたらネジはずしビットを使います。
- ネジはずしビットは、下穴あけも引き抜きも「左回転(逆転)」で行います。ここを右回転にして失敗する人が多いです。
- 下穴の深さは3〜5mmが目安です。低速・垂直・切削油の3つを守ると、刃が欠けにくくなります。
ネジの状態別:どの方法で外すか
まずネジの状態を見て、どこから始めるかを決めます。ネジはずしビットはネジの頭に穴をあける方法なので、もっと軽い方法で外れるならそのほうが早く済みます。
| ネジの状態 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 十字の溝が少し潰れている | 輪ゴムやゴム手袋の切れ端を溝に挟み、ドライバーを強く押し付けながらゆっくり回す。ドライバーのサイズが合っているかも確認する(No.2で滑るならNo.3を試す) |
| ネジの頭が出ていて、つかめる | ネジ用のプライヤーで頭をつかんで回す |
| 溝が完全に潰れている/頭が埋まっていてつかめない | ネジはずしビット(この記事で解説) |
| 錆びて固着している | 浸透潤滑剤を吹き付けて10〜30分置いてから、上のいずれかの方法を試す |
| 頭が取れた・ネジが折れた | 残った軸の中心に下穴をあけられればネジはずしビットも使えるが、難易度は高い。部材が高価なら専門業者に相談する |
ネジはずしビットとは?外れる仕組み
ネジはずしビット(スクリューエキストラクター)は、1本の両端に「ドリル側」と「タップ側」が付いた工具です。
- ドリル側:潰れたネジの頭に下穴をあけます。
- タップ側:逆ネジ(左ネジ)の形になっていて、左に回すと下穴に食い込みます。食い込むほど強くかみ合うので、そのままネジが緩む方向に回って抜けてきます。
普通のネジは右に回すと締まり、左に回すと緩みます。ネジはずしビットはドリル側もタップ側も、ネジが緩む方向(左)に回して使います。
サイズの選び方(早見表)
ビットはネジの直径に合わせて選びます。下の表はMel Japanのネジはずしビット5本組(#0〜#4)の場合です。他社製品でも、サイズの考え方は同じです。
| 番号 | 対象ネジ | ネジの直径 | ドリル側の径 | タップ側の最大径 |
|---|---|---|---|---|
| #0 | M2〜M3 | 2〜3mm | 約2mm | 約4.6mm |
| #1 | M3〜M5 | 3〜5mm | 約2.5mm | 約5.4mm |
| #2 | M4〜M8 | 4〜8mm | 約3.5mm | 約6.1mm |
| #3 | M5〜M10 | 5〜10mm | 約4mm | 約6.4mm |
| #4 | M6〜M12 | 6〜12mm | 約6mm | 約8.8mm |
全長はどれも約52mmです。2つのサイズにまたがるときは、小さいほうから試してください。大きすぎるビットを使うと、ネジの頭の外まで削ってしまい、かえって外しにくくなります。
ネジはずしビットの使い方(4ステップ)
用意するもの:ネジはずしビット、電動ドリルドライバー(正転・逆転の切り替えと低速回転ができるもの)、切削油、保護メガネ
- ビットを選んで、ドリル側を取り付ける
外したいネジより一回り小さいビットを選び、ドリル側を電動ドライバーに取り付けます。 - 左回転で下穴をあける
回転方向を左(逆転)に切り替えます。ネジの頭に垂直に当て、押し付けながら低速で下穴をあけます。深さは3〜5mmが目安です。切削油を使い、穴にたまった切りくずを取り除きながら進めます。 - タップ側に差し替える
ビットを抜いて向きを変え、タップ側を取り付けます。回転は左のままです。下穴に垂直に差し込み、食いつくかを確認します。 - 押し付けながら、ゆっくり左回転で引き抜く
垂直に押し付けたまま、ゆっくり左に回します。タップが食い込むとネジが一緒に回り始めるので、そのまま抜き取ります。
ネジはずしビットで失敗する原因と対策
「穴があかない」「空回りする」「1回で刃がだめになった」という失敗には、だいたい次のような原因があります。
1. 下穴を右回転であけている
ドリルというと右回転のイメージがありますが、ネジはずしビットの下穴は左回転であけます。右回転で削ると、ネジを締める方向に力がかかってしまいます。反対に左回転で削っていると、穴あけの途中でネジが緩んで外れることもあります。
2. 下穴が浅い
下穴が浅いと、タップ側の刃がかかる部分が少なくなり、空回りしたり、穴の縁が崩れたりします。3〜5mmを目安に、しっかり掘ってください。
3. 回転が速い、またはインパクトドライバーの打撃を使っている
高速で削ると摩擦熱で刃先がなまり、削れなくなります。インパクトドライバーの打撃は、細いビットが欠ける原因になります。低速で、打撃なしで、時間をかけて削るのが一番の近道です。とくに#0や#1の細いビットは、無理な力をかけないようにしてください。
4. ビットが大きすぎる
ネジの頭よりタップ側が太いと、ネジの頭の周りまで削って穴が広がり、余計に外れにくくなります。迷ったら小さいサイズから試します。
5. 斜めに当てている
ビットが斜めだと、穴が中心からずれたり、刃の片側だけに力がかかって欠けたりします。ネジの頭に対してまっすぐ(垂直)に構えます。
6. ネジがとても硬い(ステンレス、焼入れされたビスなど)
硬いネジは、HSS鋼のビットでも削るのに時間がかかります。切削油を足しながら、低速で少しずつ進めてください。それでも削れない場合は、無理に続けず、次の方法に切り替えます。
それでも外れないときの次の手
- 浸透潤滑剤を使う:錆や固着が原因のときは、潤滑剤を吹いてしばらく置くと回りやすくなります。
- ネジの頭を削り落とす:ネジの頭より太いドリルで頭だけを削り落とすと、部材を外せることがあります。部材が外れれば、残った軸はプライヤーでつかんで回せる場合があります。
- 専門業者に相談する:車やバイク、高価な家電など、失敗できない部品は無理をせず相談してください。
よくある質問
- ネジはずしビットで下穴をあけるときは、右回転ですか?左回転ですか?
- 左回転(逆転)です。下穴あけも引き抜きも、どちらも左回転で行います。
- 下穴はどのくらいの深さまであければいいですか?
- 3〜5mmが目安です。浅すぎると、タップ側がしっかり食い込みません。
- インパクトドライバーで使えますか?
- ドリルチャックアダプターを使えば取り付けられます。ただし打撃が加わると刃が欠けやすいので、低速で回せるドリルドライバーをおすすめします。Mel Japanのネジはずしビットは、チャック径3.5〜9mmのドリルドライバーに対応しています。
- どのサイズを使えばいいですか?
- ネジの直径で選びます。#0は2〜3mm、#1は3〜5mm、#2は4〜8mm、#3は5〜10mm、#4は6〜12mmが目安です。迷ったら小さいほうから試してください。
- ステンレスのネジも外せますか?
- 外せますが、硬いネジは削るのに時間がかかります。切削油を使い、低速で少しずつ削ってください。
- 頭が取れたネジや、折れたボルトにも使えますか?
- 残った軸の中心に下穴をあけられれば使えます。ただし難易度は高いので、部材が高価な場合は専門業者への相談も検討してください。
この記事で紹介した道具
Mel Japan なめたネジはずしビット 5本組
- サイズ:#0〜#4の5本(ネジの直径2〜12mm、M2〜M12に対応)
- 材質:HSS鋼(ハイス鋼)
- 1本でドリル(下穴あけ)とタップ(引き抜き)の2役
- 対応:チャック径3.5〜9mmのドリルドライバー